豪ドル/円相場は、90~92円水準まで値位置を切り下げる展開に。主要通貨に対する円高傾向に歯止めが掛からない一方、不安定なリスク投資環境を嫌気して豪ドルに対sルウ売り圧力も継続する中、円と豪ドルの双方から豪ドル安・円高が促されている。豪ドル/円は1月2日以来の安値を更新しており、ほぼ年初からの上昇幅を相殺した形になっている。また、豪ドル/米ドルは20101年9月20日以来の安値を更新している。
豪ドルに関しては、引き続き世界的な株価動向と強い連動性が維持される見通し。6月13日に発表される5月雇用統計によっては追加利下げ観測が改めて豪ドル売り圧力につながる可能性もあるが、こうした金融政策見通しを背景とした豪ドル売りは主に対米ドルで展開される見通しであり、豪ドル/円相場に対する影響は限定的と見ている。むしろ警戒すべきは、日経平均株価を中心に世界の株式市場が不安定化していることの方である。特に何か景気見通しに大きな修正を迫るような動きが見られる訳ではなく、基本的にはこれまでの急激な株高に対するスピード調整の局面と評価している。ただ、株安に逆行して豪ドルを買い進むことは難しく、株式市場のボトム確認までは豪ドル/円相場のボトム確認も先送りされる見通しである。
6月12日に開催された日本銀行・金融政策決定会合であるが、長期金利の導入を抑制するような新たな施策導入は見送られた。ただ、これは日銀が金融市場が「落ち着きを取り戻していく」ことに強い自信を有していることの裏返しであり、大きな問題にならないだろう。円安修正に終止符が打てない状況が続いているが、既に債券市場が落ち着きを取り戻し、株高や円安の過熱感が解消されていることを考慮すれば、日経平均株価高と円安の組み合わせが再開される時期は遠くないだろう。株価の調整局面が想定していたよりも長引いているが、豪ドル売りは対米ドルに留めておき、豪ドル円は反転に備えるべきと考えている。
今後1週間の予想レンジは、89.00~93.00円。